ひろさんぽ

ギター、お酒など趣味のことをつらつらを書いていくブログです。

高校生のころ、小説家になりたくて小説を書いた話

畠山です。


あなたは小説家になりたいと
思った事はありますか?


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「小説家」ってかっこいいですよね。


自分の好きなときに起きておもむろに文章を書き、
好きな時間にご飯を食べて好きな時間に寝る。


「こんないい仕事はない!」と高校生の私は
思っていました。


そして実際に小説家になりたいと思って、
短編小説を書いていた時期もあります。


今日はそのときのことを少し
振り返ってみたいと思います。


2分ほど、しばしお付き合いを!


【目次】

1.わたしが高校生のときに書いた超短編小説


私は何を隠そう、村上春樹の大ファンです。


村上春樹の描く世界観と文章のリズムが大好きで
おそらくエッセイを含め、30冊ほどの本たちが
本棚に並んでいます。


まずは私が高校2年生のときに書いた
超短編小説を見て頂こうと思います。


見る方が見たらすぐにわかると思いますが
めちゃめちゃ村上春樹っぽいです。


当時は文豪に憧れて400字の作文用紙に
書いていたんですが、
さすがに読みにくいので
文字起しをしてみました。


作品タイトルは『消失したタコの物語』です。


・・・


「空からタコが降ってくることがあると思う?」
とユミコは言った。


わからない、と僕は答えた。


「確か一昨日の夜だったわ。わたしがベランダで
マールボロのたばこを吸っていたときにね、
空から奇妙な赤黒い色をしたものが降ってくるのを見たの。


そしてそれは地面にベロン、と引っ付いたと思ったら
隣の家の煙突にぬるぬると這いつくばって入っていっちゃったの。
それは間違いなくタコだったわ。」


「それは不思議な話だね。
僕は空からたこが降ってくる光景を見たことがないし、
話で聞いたこともない。
カフカやハートフィールドの小説でさえもね。」


ユミコは少しうんざりしたような表情をした。
それは僕の発言に対してのものだったのか、
それとも空からタコが降ってくることの意味を
理解しかねているためのものだったのか、ぼくにはわからない。


「多分ね、これはあくまでも仮説に過ぎないけど
あのタコは私の意識の一部だと思うの。」とユミコは言った。


タコがユミコの意識の一部?


「つまりね、なんからの理由で私の行き場を失った意識、
たぶんとんでもなく複雑で単純なものよ、
それが体の中から飛び出してきちゃったんだと思うの。


血液やら髪の毛やらありとあらゆるものが
無造作にかき混ぜられてできたのが、あのタコなのよ。」


ぼくにはユミコの言いたいことが
ほとんど全て理解できなかった。
こんなことは僕たちが共に3年間生活してきて
はじめてのことだった。


僕はユミコが言った言葉の意味を考える。が、
考えれば考えるほど暗い闇が僕の、あるいは僕たちの家の縁を
なぞるように覆い尽くしているような感覚に襲われる。


それは一種の啓示のようなものにも思える。
でもいくら考えを巡らせたところで、
ぼくにはその意味を理解することが不可能なことで、
また不適切な行為のように感じた。


「君はあのタコをことを知っているの?」
と僕が聞いた。

「知るわけないじゃない。私が言ったのはただの仮説。
何の根拠もない、経験則ですらないわ。
だってわたしだって空からタコが降ってくるなんて
本当に驚いたんだから。」とユミコは言った。


でも僕はユミコがあのタコのことを多少なりとも、
知っていることを知っている。


ベランダの窓に、バチバチ、という静電気のような音が響く。
雨が降り始めたようだ。


僕らはひとしきり雨の音に耳を澄ませる。
雨の音はクラシカルな音楽とコーヒーと
短編小説がとても合うな、と僕は思った。


その頃隣の家の煙突は黒い煙と共に、
こんがりとした臭いを放っていた。


「タコは私の意識の一部だと思うの。」


ユミコはいつの間にかソファー・ベッドの上で
タオルケットをひっかけ、まるで死んだ魚のように眠っていた。


僕は二日間の有給休暇をとり、ユミコの様子を見た。
彼女は結局、丸二日間眠っていた。


「夢を見ていたわ。」とユミコが言った。
「どんな夢?」と僕は聞いた。


ユミコはとても答えにくそうだった。
ぶつぶつとひとりごとを繰り返していた。


「何かこう、とても変な夢だった。
限りない闇の中に私はいて、その隣にタコがいたわ。


それでタコは私にこういったの。
『君の血は俺のエナジー
とてもじゃないが吸いきれない』、ってね。」


彼女の見た夢は象徴的な響きを持っていた。
それはほぼ間違いなく現実に起こりうる。


彼女の見た夢は現実とは一線を引いているようで、
実はトンネルのようなもので繋がっているのだ。


半透明のトンネルは夢と現実を繋ぎ、
僕とユミコの意識を、ほとんど無感動に繋ぐ。


二日間降り続いた雨は大地に吸収され、
新しい命を産み出すための大切なエネルギーとなる。


ブリリアント・カットを施された
ダイヤモンドのような乱反射的な生命の息吹がそこにはある。


タコは僕たちの家の前で、
退屈そうにしかるべき時を待っている。


僕は庭に出た。


僕たちの家の庭には花壇があり、
そこにはユミコの好きなガーベラと
ベゴニアの花が咲いており、朝を歓迎しているようだ。


タコは僕たちの家の前で干からびて死んでいた。
実際に太陽の光によって焼かれたという確証はない。


実際に「干からびた」という表現が正しいのか
どうかすらわからないが、
とにかくタコはそこで生き絶えていた。


タコの死が僕たちにもたらしたものといえば、
ユミコに子供ができたことだ。


僕はそれが何を意味しているのかを分かりかねた。
タコと僕たちの子供になる命はどこかで繋がっていたのだろうか。


わからない。
でもこれから僕たちは三人で生きていくことになる。
それは今までとは違う人生になるだろう。


状況は良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。
そういうことはなってみないとわからない。


そんなわけで、今日も僕はユミコとタコを食べに行った。


・・・


いかがでしょうか?



今見返すと、なかなかひどい出来ですね・・・笑


なんでこういう物語を書こうと思ったのか
当時のわたしに聞いてみたい。笑

2.小説を書いてみて気付いたこと


先ほど見ていただいた小説は
小説にしてはものすごく短いです。


しかしあの量(2000文字ぐらい)の小説を
書くのでさえ3,4日ほどかかっています。


正直めちゃめちゃしんどかったです。。。


わたしは小説を書くことであらためて小説家のすごさと
インプットの難しさ・大変さを実感しましたね。


ハリーポッターの作者のJK・ローリングさんなんて
もはや神の領域です。。。


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推測ですがシリーズ累計300万文字ぐらいだと
思われます。本当にとんでもない。


あと小説は1つ1つの描写を細かく書いていく
必要があるため、全然先に進みません。笑


たった「家から外に出る」という事実を説明するだけでも

男はマフラーを首に巻き、イスにかかっている
新品のダウンコートを羽織った。


時計の針は夜中の2時を示している。


男は物音1つ立てることなく、玄関まで
滑るように歩いていった。


そして使い古しのナイキの紺色のスニーカーを履き
ドアに手をかけた。


というように動作を1つ1つ書いていく必要があります。


「そんなところまで書かないといけないの!?」
というような細かい描写もサボらずに書かないと
途中で論理的にはたんしてしまう可能性もあるので
しっかりと1つ1つ書いていくんですね。


また近いうちに小説書いてみようかな。笑

3.まとめ


今日は私の高校時代に書いた小説と
小説を書いて気付いたことを話しましたが、
小説を書くと「文章の持つ力」を体験できます。


文字に血が通う、とでも言いましょうか
文字に感情が付随してくるんですね。


少し大変ですが小説を書いてみるのは
ライティングの練習にもすごくおススメですよ。